男性更年期(LOH症候群)
男性更年期(LOH)症候群とは、加齢に伴って男性ホルモン(テストステロン)の分泌が低下することで、様々な症状を起こす病気です。40歳代以降に発症します。身体症状として、関節痛・筋肉痛、倦怠感、発汗、ほてりなど、精神症状として、イライラ、不安、不眠、意欲低下、性機能症状として、EDや性欲低下といった症状を起こします。
男性更年期の診察・検査
Aging Males` Symptomsスコアという質問票を用いて、症状の評価を行います。
採血で総テストステロン(必要に応じて遊離テストステロンも)などのホルモンを検査します。総テストステロン値が250 ng/dL未満、もしくは遊離テストステロン値が7.5 pg/mL以下であれば、LOH症候群と診断します。時に視床下部や下垂体の疾患に伴って男性ホルモンの分泌が低下していることもあるので、その精査もします。
テストステロン補充療法を行う場合、PSAという検査項目の値が2.0 ng/mL未満であることを確認します。
男性更年期の治療
食事療法
肥満がある(BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)が25以上)場合は、テストステロン値が低下してしまうため、減量が重要です。ただし極端な摂取エネルギー量の制限もテストステロン値を下げてしまうため、注意が必要です。
運動療法
比較的強度の高い有酸素運動(速いペースのウォーキングなど)を1回40~60分、週3日以上継続して行うことが重要です。筋力トレーニングも効果的です。ただし競技者レベルの負荷や頻度で運動をすると、却ってテストステロン値が下がってしまうと言われており、注意が必要です。
薬物療法
主なものはテストステロン補充療法です。テストステロンエナント酸エステルを2~4週毎に筋注します。先述の症状の改善の他、筋肉量増加、体脂肪量減少、代謝疾患改善といった効果が期待できます。しかし男性更年期の症状は非特異的なものが多く、必ずしもテストステロン補充療法で改善しないこともあり、その場合は中止を検討します。
副作用として、多血症、精子量減少、前立腺がんがある場合にその悪化を起こすことがあるので、注意して経過観察していきます。
テストステロン補充療法の適用外となってしまう場合、漢方による治療を検討します。