内分泌疾患といっても、なじみが薄いと思われる方もいらっしゃると思います。
主な内分泌疾患の概要を説明します。
下垂体疾患
下垂体前葉機能低下症
下垂体前葉から成長ホルモン、卵胞刺激ホルモン、黄体ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、副腎皮質刺激ホルモン、プロラクチンの6種類のホルモンが出ていますが、この一部もしくは全部の分泌が低下することで、様々な症状を起こします。
欠乏するホルモンとその欠乏症状は以下の通りです。
成長ホルモン
小児では成長障害、成人では体脂肪増加、筋肉量減少、骨粗鬆症、体力・気力の低下など
卵胞刺激ホルモン・黄体ホルモン
小児では二次性徴が出現しない、成人では性欲低下、不妊、無月経など
甲状腺刺激ホルモン
甲状腺機能低下症の項をご参照ください
副腎皮質刺激ホルモン
副腎皮質機能低下症の項をご参照ください
プロラクチン
男性では明らかな症状なし、女性では乳汁分泌低下
先端巨大症
成長ホルモンが過剰に分泌される病気で、多くは下垂体腫瘍を伴います。
見た目の変化(手足が大きくなる、下顎や眉が突出してくる、鼻・唇・舌が肥大する)を起こします。
プロラクチノーマ
プロラクチンを過剰に分泌する下垂体腫瘍ができる病気です。乳汁分泌、性欲低下、不妊などを起こします。
下垂体腫瘍のうち、唯一薬物療法のみで完治が狙える病気です。
中枢性尿崩症
下垂体後葉からの抗利尿ホルモンの分泌が低下する病気です。
喉が渇いたり、尿量が著しく増え、夜間も頻回にトイレで起きます。
不適切抗利尿ホルモン分泌
症候群
抗利尿ホルモンが不適切に過剰に分泌される病気です。低ナトリウム血症を起こし、ふらつきや食欲低下の原因となります。
低ナトリウム血症が重篤化すると、意識障害や痙攣が生じることもあります。
甲状腺疾患
橋本病
甲状腺を攻撃する抗体ができる病気です。
多くは甲状腺が腫れる以外の症状はありませんが、一部が甲状腺ホルモンを作る能力が低下し甲状腺機能低下症となります。
甲状腺機能低下症については甲状腺機能低下症の項をご参照ください。
破壊性甲状腺炎
甲状腺が何らかの理由で破壊される病気です。無痛性甲状腺炎(痛みを伴わない)と亜急性甲状腺炎(原則痛みを伴う)に大別されます。
炎症が激しいときは甲状腺中毒症となり、収まってくると甲状腺機能低下症となり、最終的には甲状腺機能は正常化するか、低下したままとなります。
副甲状腺疾患
原発性副甲状腺機能亢進症
副甲状腺ホルモンが過剰に作られる病気です。
高カルシウム血症を起こし、喉の渇きや尿量増加、意識障害、消化管潰瘍、膵炎を起こします。他に、骨粗鬆症や尿路結石、腎機能低下も起こします。
副腎疾患
褐色細胞腫
副腎髄質で、カテコラミン(アドレナリンやノルアドレナリン、ドパミン)が過剰に作られる病気です。
高血圧・頭痛・動悸・発汗過多などが起こります。
性腺機能低下
男性性腺機能低下症
精巣の機能が低下し、男性ホルモン(テストステロン)や、精子を作る能力が落ちる病気です。
いわゆる男性更年期(LOH症候群)を含みます。男性更年期については、男性更年期(LOH症候群)の項のをご参照下さい。
女性性腺機能低下症
卵巣の機能が低下し、女性ホルモン(エストロゲン)を作る能力が落ちたり、月経異常や不妊を起こす病気です。
やせに伴うものや、多嚢胞性卵巣症候群を含みます。
神経内分泌腫瘍
主に膵臓や消化管などに神経内分泌腫瘍というものができる病気です。良性から悪性まで様々で、一部ホルモンを過剰に作っていることがあります。
過剰に作るホルモンの種類により、インスリノーマ、ガストリノーマなどと名付けられます。