TO TOP
アクセス
診療時間

骨粗鬆症

骨粗鬆症とは

骨粗鬆症とは、骨の量(骨量)が減って骨が脆くなり折れやすくなる病気です。閉経後の女性に見られることが多く、60歳代の女性の1/5に、70歳代の女性の1/3が骨粗鬆症だと言われています。骨粗鬆症になると背骨や脚の付け根の骨(大腿骨近位部)などが折れやすくなり、尻もちをついたり、重いものを持ち上げたり、くしゃみをしたりするだけでこれらの骨が折れてしまうこともあります。
腰椎圧迫骨折は、腰痛の原因となるだけでなく、重症化すると背中が曲がり、神経を圧迫して脚の痺れが出現したり、肺活量が低下したり、逆流性食道炎を起こす事もあります。大腿骨近位部骨折は、脚の付け根の部分の激痛を起こします。多くは手術となりますが、手術しても体力・筋力の低下が進み、寝たきりになってしまうこともあります。
以上から、骨粗鬆症を早期発見・治療することは重要です。

骨粗鬆症の検査

DXA法で、腰椎と大腿骨頸部の骨密度を測定することが、理想的です。超音波法(かかとやすねの骨に超音波を当てて骨密度を測定するもの)は骨粗鬆症の確定診断に用いることはできません。
痛みを伴わずいつの間にか腰の骨が折れていた、という人もいるので、腰の X線写真やMRIを行うこともあります。
骨粗鬆症の診断となったら、病態の評価のために骨代謝マーカーというものを採血や採尿で検査したり、必要に応じて骨粗鬆症の原因の検索を行います。

どんな方が骨密度検査を
受けるべきか

以下のどれかに当てはまる方は、骨密度検査を受けることを勧めます

①65歳以上の女性、
もしくは70歳以上の男性
②骨粗鬆症のリスク因子を持つ、
閉経前後の女性もしくは
50歳以上70歳未満の男性

ここでいうリスク因子とは下記のいずれかに当てはまることを指します。

  • 過度のアルコール摂取
  • 現在の喫煙
  • 血縁に大腿骨近位部骨折の方がいらっしゃる
③その他、骨粗鬆症のリスクとなる病気を持っている方や、骨粗鬆症のリスクとなる
薬剤を使用している方

内分泌疾患と骨粗鬆症

内分泌疾患は骨粗鬆症を引き起こすものが多く、原発性副甲状腺機能亢進症、甲状腺機能亢進症、性腺機能低下症、クッシング症候群、原発性アルドステロン症、骨軟化症などが、骨粗鬆症を引き起こします。内分泌疾患が見逃されていると、骨粗鬆症の治療に悪影響を及ぼすことがあります。
例えば、

原発性副甲状腺機能亢進症が
見逃され、骨粗鬆症に対して
活性型ビタミンDで治療される

→高カルシウム血症となって、意識障害や脱水、消化管潰瘍などを引き起こす可能性があります

原発性副甲状腺機能亢進症

骨軟化症が見逃され、
骨吸収抑制薬で治療される

→逆に悪化する可能性があります

従って骨粗鬆症の治療前に、内分泌疾患が隠れていないか、チェックを受けることが望ましいと考えます。

主な内分泌疾患

骨粗鬆症の治療

①食事療法

肥満解消

瘦せ型だと骨粗鬆症のリスクになることはなんとなく想像がつくと思いますが、肥満も骨粗鬆症のリスクとなります。
適切なエネルギー摂取量を目指しましょう。適切なエネルギー摂取量については、糖尿病の食事療法の項も参照してください。

糖尿病の食事療法

カルシウム摂取

カルシウムをしっかり摂りましょう。乳製品、豆類、魚介類などに多く含まれます。
サプリメントでカルシウムを摂取するのは心血管疾患のリスクになると言われており、控えましょう。

ビタミンDの摂取

ビタミンDをしっかり摂りましょう。青魚やきのこ類に多く含まれます。
ただし市販の干しシイタケは機械で乾燥して作られていることが多く、そのままだとビタミンDが少ないので、天日干ししてから食べると良いです。
市販のビタミンDサプリメント(カルシウムを含まないもの)も良いでしょう。

②運動療法

有酸素運動、レジスタンス運動

有酸素運動(ウォーキング、ジョギング、階段昇降など)も、レジスタンス運動(いわゆる筋力トレーニング)も効果的です。
骨強度を高めるだけでなく、転倒の予防にもつながります。

簡単な運動メニュー

簡便な運動のメニューの1例をお示しします。転倒予防や筋力増強に効果的とされています。

スクワットを1セット5~10回を1~3セット
+片脚立ち(適宜壁に手をついてもOK)を
左右1分ずつを1日1~3セット

+かかと上げ(適宜壁に手をついてもOK)を
1セット10~20回を1日1~3セット

③薬物療法

非常に多くの薬が発売されていますが、大腿骨近位部骨折のリスクを下げるエビデンスを持っている薬は限られていたり、重症度の高い骨粗鬆症では、骨形成促進薬を積極的に検討する必要があったりします。
当院は内分泌を専門とするクリニックとして、一人ひとりの患者さんに合った薬剤選択を心がけていきます。