妊娠前のメディカルチェック
(プレコンセプションケア)
比較的高齢で妊娠・出産される方が近年増えており、糖尿病・高血圧などの基礎疾患を持った状態で妊娠される方は増えています。
また、橋本病は成人女性の10人に1人と比較的多くの方に見られると言われています。これらの疾患は無症状であることが多く、妊娠して初めて指摘される方もいらっしゃいます。
糖尿病や高血圧、橋本病合併妊娠は、以下のように様々な周産期合併症のリスクとなり、妊娠前にチェックしておくことが重要です。
糖尿病合併妊娠
赤ちゃんの合併症
- 先天異常(奇形)
- 巨大児
- 胎児発育不全
- 新生児低血糖
- 新生児多血症
- 新生児呼吸窮迫症候群
糖尿病の合併症
- 糖尿病性網膜症
- 糖尿病性腎症の進行
- 糖尿病性ケトアシドーシス
産科的合併症
- 不妊
- 流産
- 早産
- 妊娠高血圧
- 羊水過多
- 巨大児に伴う難産
高血圧合併妊娠
赤ちゃんの合併症
- 胎児発育遅延
- 胎児機能不全
高血圧の合併症
- 脳出血
- 心不全
- 肺水腫
- 肝臓や腎機能障害
- HELLP症候群
産科的合併症
- 不妊
- 流産
- 早産
- 常位胎盤早期剝離
- 帝王切開率の増加
橋本病合併妊娠
(潜在性甲状腺機能低下症
合併妊娠)
産科的合併症
- 不妊
- 流産
- 早産
- 妊娠高血圧
糖尿病・内分泌専門クリニックが
内分泌代謝疾患の側面から
プレコンセプションケアを実施
特に、糖尿病合併妊娠における先天異常は、妊娠初期(特に妊娠4週~8週)の血糖コントロールによって規定され、その後に糖尿病に気づいて血糖コントロールを頑張っても、先天異常のリスクは下がりません。また、糖尿病や高血圧、橋本病は不妊のリスクになります。
将来の妊娠を考えながら、女性やカップルが自分たちの生活や健康に向き合うことを、「プレコンセプションケア」といいますが、プレコンセプションケアの一環として、妊娠前にこういった疾患のチェックをして対処をしておくのが理想的です。当院では糖尿病・内分泌の専門クリニックとして、内分泌代謝疾患の側面からプレコンセプションケアの診療を行います。
※めでたくご懐妊された後も、当院でも糖尿病合併妊娠・高血圧合併妊娠の診療は可能です。
ただしこれらはハイリスク妊娠のため、妊娠が判明したら総合病院の産婦人科に紹介され周産期管理をされることが多く、担当される産婦人科の先生によっては、同じ病院の糖尿病・内分泌内科/腎臓内科に、糖尿病や高血圧の管理をしてもらいたいと考える先生もいらっしゃいます。妊娠後のフォローについては担当の産婦人科の先生ともよく相談しましょう。