タンパク尿とは
タンパク尿は、尿中にタンパク質が存在する状態です。腎臓は、血液から老廃物や塩分を取り除き、尿として体外に排出する役割を果たしています。
この過程で、血液は糸球体と呼ばれるフィルターを通過し、老廃物は尿となり、尿細管へと移動します。通常は、糸球体を大きなタンパク質は通過せず、小さなタンパク質は通過するものの尿細管で再吸収され血液中に戻ってきます。従って、タンパク尿がある場合、腎臓に障害が生じている可能性があることが示唆されます。
タンパク尿の基準値(1+、2+)
タンパク尿の検査には、「定性」と「定量」の2つの方法があります。検査結果は次のように表示されます。
定性:(-)・(±)・(1+)・(2+)・(3+)・(4+)
定量:●● g/gCre,●● g/日
定性検査では尿中のタンパク質のおおよその量を確認でき、定量検査ではタンパク尿の正確な量を数値で示します。
定性検査では、(-)が「異常なし」、(±)が「注意が必要」、(1+)以上で「タンパク尿陽性」と判断され、医療機関での詳細な検査が推奨されます。
尿試験紙法(定性法)の
判定基準
(-) | タンパク濃度が 15 mg/dL未満 |
---|---|
(±) | 15-29mg/dL |
(1+) | 30mg/dL |
(2+) | 100mg/dL |
(3+) | 300mg/dL |
(4+) | 1000mg/dL |
尿タンパク(定量法)の判定基準
正常 | 尿タンパクが0.15 g/gCre、もしくは0.15 g/日以上 |
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軽度 | 尿タンパクが0.15~0.50 g/gCre、もしくは0.15~0.50 g/日 |
高度 | 尿タンパクが0.50 g/gCre、もしくは0.50 g/日以上 |
タンパク尿に伴う症状
腎臓の病気は初期段階では症状が現れないことが多いです。しかし、尿タンパクが増加すると、排尿時に泡立ちが目立つようになります。また、尿タンパクが大量になり、血中のタンパクが減ると、全身のむくみが生じます。腎機能の低下が進むと、倦怠感、むくみ、息切れなどの症状が出始めます。透析を避けながら病状の悪化を防ぐためにも、早期の精査と治療が重要です。
タンパク尿が出る原因
タンパク尿がある方の全てが腎臓疾患を抱えているわけではありません。実際、タンパク尿には無害なものも含まれます。一般的にみられるのは、起立性タンパク尿や運動後・発熱時のタンパク尿、月経や射精によるタンパク質の混入です。これらの場合、早朝の尿検査や別日の再検査で確認することができます。
病的なタンパク尿の原因としては、糖尿病性腎症、腎硬化症、糸球体腎炎、膠原病、横紋筋融解症、間質性腎炎、多発性骨髄腫などが挙げられます。
尿潜血について
尿潜血は尿に血が混じる状態のことで、顕微鏡的血尿(尿潜血が陽性だが、尿の見た目は赤くない)と肉眼的血尿(目に見えて尿が赤い)に大別されます。糸球体腎炎、膀胱炎や腎盂腎炎などの尿路感染症、尿路結石、多発性嚢胞腎、膀胱がん、腎がん、尿管がん、前立腺肥大などが原因として挙げられます。
顕微鏡的血尿の場合、腎臓や尿管、膀胱、尿道などからの出血が疑われます。尿潜血と尿蛋白が同時に陽性の場合は、糸球体の異常の可能性が高まります。
また、肉眼的血尿の場合は、腎臓内科より先に泌尿器科の受診をお勧めします。膀胱がんや腎がん、尿管がんが隠れている可能性があります。
おわりに
タンパク尿や血尿を指摘されたら、当クリニックの受診をお勧めします。治療が遅くなると腎機能低下が進行し、透析のリスクが高くなる可能性があります。